マウスピース矯正やスポーツ用マウスピースを使用していると、つい「毎日洗っているから大丈夫」と思い込み、長期間同じものを使い続けてしまうことがあります。しかし、そのマウスピース、見た目に変化がないからといって安心していませんか?実は、見えない“劣化”が進行している可能性があるのです。
そしてこの劣化が、マウスピースの臭いだけでなく、口腔内の健康にも悪影響を及ぼす原因となりかねません。この記事では、マウスピースの劣化が招くさまざまなトラブルと、正しい交換タイミングについて詳しくご紹介します。
劣化したマウスピースが引き起こす「臭い」の正体
使い始めたばかりのマウスピースは透明感があり、装着していても違和感なく、臭いも気にならないという方が多いでしょう。しかし、日々の使用と洗浄を繰り返すうちに、目に見えない細かな傷や摩耗が徐々に増え、そこに細菌や汚れが入り込みやすくなっていきます。
細かな傷に入り込んだタンパク質汚れや唾液の成分、食べかすが蓄積すると、通常の洗浄では落としきれず、そこに菌が繁殖して独特のにおいを発生させるのです。
特に注意したいのは、「洗っても取れない嫌なにおい」が続く状態。これはマウスピースの内部に汚れがしみ込んでいるサインであり、表面をどれだけ洗っても改善されません。このような状態になったマウスピースは、早急な交換が必要です。
使用期間が長すぎると起こる“フィット感の低下”
マウスピースは、歯列や用途に合わせて設計されていますが、使い続けることで素材そのものがわずかに伸びたり変形したりします。最初はピッタリとフィットしていたものが、数ヶ月後にはゆるく感じたり、浮いたような感覚がすることもあります。
この「フィット感の低下」は、矯正治療中であれば計画された歯の移動がうまく進まない要因になりますし、スポーツ時に使用している場合はパフォーマンスや安全性の低下につながります。また、隙間ができることで空気や唾液がこもりやすくなり、結果として臭いの温床にもなってしまうのです。
劣化によって生じる衛生面でのリスク
マウスピースの素材は、柔らかさや透明感を保つために特殊な樹脂が使われていますが、時間の経過とともに柔軟性が失われたり、変色・硬化が起こることがあります。これにより、表面の抗菌性が低下し、菌の定着やカビの発生リスクが高まります。
また、表面がざらついてくると舌や頬の内側を傷つけやすくなり、そこから炎症や口内炎を引き起こすケースもあります。日常的に使用するものだからこそ、衛生面の劣化は見逃してはならない重要なポイントです。
医師や歯科衛生士がすすめる交換の目安とは?
矯正用マウスピースの場合、多くの歯科医院では「2週間ごとの交換」を推奨しています。これは、マウスピースが歯の動きに応じて段階的に形を変える構造のため、治療計画に合わせて新しいものに切り替えていく必要があるからです。
一方、保定用(リテーナー)やスポーツ用マウスピースの場合は、明確な交換サイクルが決まっていないこともあります。その場合は、3?6ヶ月に1回は歯科医院で状態を確認してもらい、必要に応じて交換を検討することが勧められます。
以下のような兆候が見られたら、交換のサインと考えましょう。
? 洗ってもにおいが取れない
? フィット感が変わってきた
? 表面がざらついてきた、白濁・黄ばみが気になる
? 装着時に違和感や不快感がある
これらの変化を感じたら、マウスピースを新調することで、衛生的で快適な使用感を取り戻すことができます。
交換のタイミングを見逃さないために
毎日使っているマウスピースは、生活の一部に溶け込んでいるだけに、劣化に気づきにくいものです。
そのため、カレンダーやスマホのリマインダー機能などを活用し、「〇ヶ月に1度は状態をチェックする日」を設けるのがおすすめです。
また、洗浄後にマウスピースを光にかざして透かしてみると、細かな傷や変色の進み具合がわかりやすくなります。自分で状態を確認する習慣を持つことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
マウスピースの交換は“においと健康”の両方を守るカギ
見た目に変化がなくても、マウスピースは確実に時間とともに劣化しています。洗浄だけでは補えない衛生リスクや、におい・フィット感の悪化は、放置すればするほど使用者の快適さと健康を損なう原因になります。
「まだ使えそうだから」と判断するのではなく、「今が交換すべき時期かどうか」を定期的に確認し、必要があれば迷わず新しいものに切り替えることが、長く快適にマウスピースを使い続けるコツです。
あなたの健康的な口元と、清潔な毎日のために。
“交換する勇気”が、トラブルを未然に防ぐ最良の手段になることを、ぜひ覚えておいてください。